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幼馴染、というのは一般的に小さかったころに親しかったこと・人のことを云う。つまりエドワードとウィンリィは何処の誰がどう見ても幼馴染だ。正確に言えば、エドワードとウィンリィとアルフォンスは幼馴染だ。
しかしエドワードは常々、この幼馴染という関係から一人脱したいと思っていた。エドワードとアルフォンスは兄弟だ。よって幼馴染という関係がエドワードとの間で結びつくのはウィンリィただ一人。エドワードはウィンリィとのその関係を壊したいと思っていたのだ。
そう思い始めたのはいつだったか正確にはエドワードも覚えてはいない。あまりに自然にそのように思い始めたのだった。
ただし幼馴染という関係が嫌なわけではない。全くそれはない。むしろエドワードはウィンリィとのこの関係に感謝したほどだ。ありがとう母さんロックベル家の隣に住んでくれていて。何せ弟と違い人当たりの悪いエドワードだ。幼馴染でなければ彼女と良好な関係を築けていたかどうかもわからない。
それならば何故エドワードはウィンリィとの幼馴染という関係を脱したいのか。答えは簡単。壊したいのではない。越えたいのだ。
エドワードはずっとウィンリィを想ってきた。小さいことからそれはもう弟に茶化されるぐらい想ってきた。だがしかしその想いを伝えるには幼馴染という関係は枷以外の何物でもなかったのだ。
今の関係が壊れるのはいやだ。けれどこの関係を越えられないというのも非常に好めない事態だ。
エドワードはひたすら考えた。高性能の頭脳が知恵熱を発するぐらい考えた。そして考えて考えて考えた末に頭の中の天秤はそれ以上の関係という分銅を乗せた方にことりと傾いた。
エドワードは決心した。ウィンリィ。彼女の名前を呼ぶ。振り向かれる。あのさ。話を切り出そうとする。彼女は小首を傾げる。あの、さ。尚も話を切り出そうとする。ますます彼女は首を傾げる。純真な青い瞳はまっすぐエドワードを捉える。あのさ、オレ。エドワードはすぅと息を吸う。
「は、腹減ったんだけど、なんか食うもんねぇ?」
「はぁ!?まだ3時じゃない。あーでもあんたって昔から食い意地張ってるもんね」
呆れたような彼女の声色。その呆れ返った声が視線が顔色がエドワードに突き刺さる。こんなことを言うつもりではなかったのに。エドワードは自分の決心の脆さに泣きたくなった。
ウィンリィはけれどエドワードの言葉に納得しているようだった。エドワードが言うつもりもなかった言葉に納得しているようだった。あんたらしい。昔っからそうよね。そうしてにこりと綺麗な笑顔を見せ付けられる。ああなんて世知辛い。エドワードは自分の先程の言葉を非道く非道く非道く悔やんだ。
幼馴染の壁は随分と、厚い。
01.幼馴染
エドがヘタレすぎだ。
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