「違う」ということ



「アルフォンス」
 モノクロオムな空。窓辺から零れ落ちる光の粒子。出会ったときから変わらぬ呼び名で彼女は僕の名前を呼ぶ。
「なぁ、聞いてんの?」
 眉根を寄せる。金の髪はさらさらと揺れる。
 初対面の当初から、彼女は僕の名前を呼んだ。ハイデリヒという姓でもなく、いきなり名前を、呼び捨てで。
 アルフォンス、と。
 眉を下げて、器用に笑顔を作って言ったのだった。
「なぁったら!」
 それから彼女の僕に対する呼び名は変わらない。姓で呼ぶことは決してない(呼ばれたいとも思ってはいない)。ただただひたすらに自然になめらかに、
「アルフォンス?」
「何ですか、エドワードさん」
 彼女は僕の名前を呼ぶ。まるで呪縛の言葉のようだ。


(何だかお題/squeezed orange



エドがハイデリヒのことを「アルフォンス」って呼ぶのは、あまりにハイデリヒがアルに似てたから逆にハイデリヒのことを「アルフォンス」としか呼べなかったからなのかなーなんてたまに思います。
アルと同じ顔をした奴を違う名前で呼んだら、違う奴って分かってるのに何処かアルを否定してるみたいで居た堪れない。だからといってハイデリヒは弟じゃないから「アル」ではない。
だから「アルフォンス」。
ミュンヘン兄さん(いや、この話は姉さんにしちゃいましたけど)は色々と病んでるっぽいのでこれくらい考えてても不思議じゃなさそうに思えるのが何だか泣けてきます。