夜と夢の狭間で



「僕が吸血鬼だったら良かったのに……」
 月も出ない宵のうち。まるで引きよせられるかのように、窓の外へと白いカーテンがなびく。開かれた窓からは生温い、けれど部屋の温度に比べれば幾分かひんやりとした外気が運ばれてくる。
 心地よいとは一概に言えない部屋のなか。
「んでオレの血ぃ吸ってお前等の仲間にするってか!?」
「あったり〜」
 不機嫌めいた少年に、長い髪を無造作に流した“モノ”が笑いかける。
 そのことで益々少年の機嫌は低下した。
「冗談じゃねぇ」
「僕は本気なんだけどね」
 普段は結われた少年の髪が、風に流され、さらり、さらり。手を伸ばすと、バシリとその手を振りほどかれた。
「あ〜あ、本当に僕が吸血鬼だったら良かったのに」
 言って、そのモノは少年を掴み。肩に犬歯を押しあてた。