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「いい天気だねぇー」
頭の上に広がる空は真っ青に輝いている。ゆったりと雲は頭上の青を泳ぎ、泳ぐたびに姿を徐々に変えていく。雲の端は出来上がったばかりの綿菓子のようにきめ細かく、後ろの空が透けて朧気だ。青と白のコントラストがひどく鮮明に見える。
感嘆ともとれるツナの何気ない呟きに、向かいに座っていたバジルは手にしていた湯呑みをテーブルに置き、目線を窓の外にやる。そしてあぁと目元を緩ませた。
「本当に良いお天気ですね」
「だよねー。最近雨ばっかだったから久しぶりに太陽見た気がするよ」
「そうですね、絶好の洗濯日和という感じがします」
見当違いな、しかし如何にも彼らしい返答を返す。ははっ、と笑みを零してから、ツナは目の前の机の上に置いてある煎餅をひょいとつまんだ。
穏やかな空気が部屋に満ちている。窓の外の天候と同じく、この空間を包んでいる雰囲気は実に和やかだ。
一緒にいる少年の持つ雰囲気がそうしているのだろうか。慌ただしい普段とは違い、本当に緩やかに、時間がゆったりと流れているように感じる。
ツナはそれは嫌いではない。嫌いではないというよりは、寧ろ好ましいといった方が正しいだろう。何もない平凡な時の流れが非常に尊く感じるのだ。
「あ、見て見てバジル君。あの雲、なんかクジラみたいじゃない?」
「確かにそう見えますね…。あ、その隣は何やら花のようではないですか?」
「ホントだー」
のんびりと、空を流れる雲を視界に捉え続ける。会話は途切れ途切れ。けれどもそれは双方にとって決して居心地の悪いものではない。会話が無くて気まずいという感情すら浮かんでこなかった。
ぽかぽかとした陽気が2人を包む。パリン、と軽快に煎餅が割れる音が鳴る。ことり、と湯呑みがテーブルから離れる音が耳に届いた。
「いい、天気だねぇー」
「そうですね」
見上げた空は薄青色を携え、悠々とわた雲を運んでいった。
洗濯あるいは散歩日和
(とにかくお題/squeezed orange)
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