|
「わ、わりぃなツナ」
「いいですよ、もう慣れましたから…」
いつもの如くすっ転んで階段から落ちたディーノをいつもの如く手当てしながら、ツナは、はははと苦笑をもらした。
くるくると腕に包帯を巻いていく。最初の頃はゆるゆるとしか巻けないで包帯がほつれたり弛んでしまったりしていたのだが、しかし今ではきっちりと巻けるようになった。これもすべて慣れたためというか慣れたためというか。むしろ本当に慣れだよなぁと考えて、ツナは乾いた笑みを零した。
「いや、だけどよ。いっつもいっつも申し訳ないというか…」
綺麗に巻かれていく包帯を見ながら、ディーノは手当てされている方の手とは反対のそれでぽりぽりと頭を掻いた。
ディーノとしては、今回の沢田家滞在の折にこそは失態を犯さないでいるつもりだったのだ。こうして失態を犯すごとに沢田家には迷惑をかけてしまうし、何より妹分でありそしてそれ以上の想いを抱いているツナにかっこ悪いところを見せたくないという思いもあった。今更だというものもあるが、だがそれでも男の意地だ。
しかし、結果的にはまたドジをやらかして、こうして怪我の手当てなどお世話になっている。
ディーノはがっくりと頭を垂れた。
「ほんと、わりぃな…」
「あー、あはは、いいですってば。そんなに謝らないでください」
心底落胆しているディーノを元気づけるように、ツナは包帯から目線を外して彼を見た。そこまで凹まれるのは少し心外だった。ツナとしては、こうしてディーノの手当てをすることは迷惑だと思ってもいなかったのだ。
「オレ別に迷惑だと思ってませんしむしろちゃんとした手当てが出来なくてそれこそ申し訳ないって思ってますし、それに」
一呼吸おく。そしてディーノと目を合わせて、にっこりと笑った。
「それに、ディーノには悪いんですけど、オレ結構この時間好きなんですよ。………その、ディーノさんのこと……独り占め、できるから……」
後半は目線を包帯に戻してごにょごにょとツナは呟いた。照れを隠すように、急いで包帯を巻いていく。
だがディーノにはしっかりと彼女の言葉が耳に届いていた。
じわじわと、ディーノの胸の内に幸福感が沸き上がってくる。
「ツーナっ」
「うわっ、ちょっ、ディーノさん!?」
感極まってディーノはツナに抱きついた。ぎゅーと華奢な身体を抱き締める。あわあわと真っ赤になって慌てるツナの額にキスを送る。それによって更にツナは赤くなったが、それを隠すようにディーノは再び彼女を抱き締めた。
なんて可愛いことを言ってくれるのだろうか。小さくて幼い愛しい存在。もう手放すには遅すぎる、とディーノは微笑みながら、ツナを抱き締める腕にいっそうの力を込めた。
抱きしめろ この目くるめく夢
(何だかお題/squeezed orange)
|