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家でゆったりまったり映画鑑賞。背中にはクッション。床にはジュースとポテトチップス。それでちょっとしたシアターの完成だ。そりゃあもちろん本物の映画館に比べれば迫力は見事に減っちゃってるけど。でも、やっぱ家の方がリラックス出来る。
テレビには今、ちょっと前に泣けるって話題になった映画のクライマックスシーンが映し出されてる。一番ドキドキするところなんだろう。一番感動するところなんだろう。でも、今オレには、それ以上に気になってることがある。ズバリいうと、隣で号泣してる獄寺君だ。
最初は、こんな映画つまんないっすよとか何とか散々ぶつくさ文句言ってたのに、結局こうなんだから。全く何て言ったらいいのやら。おかげで映画に集中できないよ。
でもそれは、隣で泣かれて迷惑だなとか気が散るなとかそーゆー理由じゃなくて。まぁ、全くそんな気持ちが無いのかって聞かれたらちょっと迷うけど。でも、それが映画に集中できない理由じゃない。映画の内容がさっぱり頭ん中に入ってこない理由は、もっともっと別の、むしろ全然正反対のものだ。
獄寺君の綺麗な緑がかった目は真っすぐ先を捉えていて、きっと今自分が泣いてることにも気が付いてないんだろう。
テレビが映し出す映像がくるくると、眼球の上を緑色になって踊ってる。
あー、あー、あー、もう。鼻なんかもぐしぐしさせちゃってさ。息苦しくないんだろうか。思わずティッシュを渡したくなるよ。でも、そーしようとしてちょっと躊躇う。だって、獄寺君は自分のこーゆー姿を、オレに見せたくないらしいんだ。
泣いたり何かに負けちゃったり、そーゆー彼曰く男らしくなくて情けない姿を、オレには見せたくないらしい。
別に引いたりしないのに。そんなことで嫌いになるわけないのに。何で獄寺君そんなこと思うんだろって山本に聞いたら、それが男のプライドってヤツさと返されてしまった。まったく男子ってのはわけがわかんない。
でも、だから、かな。はいっとティッシュを渡すのをオレは少し躊躇ってる。そこまで気にすることでもないんだろうけど、それでもまぁちょっとは気に掛けちゃうわけでして。
オレの少し手を伸ばした先には、適当に置かれたティッシュ箱が転がっている。獄寺君は相変わらず映画を真剣に観てる。その隙に、ティッシュ箱をそっと引き寄せて、彼の近くに置いておけばいいんじゃないか!そう考えて、オレはこっそりとティッシュを手元に手繰り寄せた。
ぐじっと泣いてる獄寺君の顔は、これでもかってゆーほど思いっきり崩れちゃってる。せっかくの美形が台無しだよ。でも、真剣にテレビを見つめている目は透明に輝いてて、すっごくとっても綺麗だ。
泣けるってことは感情がストレートってことで。言いかえれば素直とかそーゆーことで、オレには絶対真似できない。
だから、ここまで映画で泣けちゃう獄寺君は、ナチュラルにすごいなぁって思う。
獄寺君はハラハラしながら映画をじっと観てる。オレはそんな獄寺君に釘づけだ。獄寺君は泣き顔を見られたくないかもしれないけど、でも悪いなって思いながらも、オレはずっと見ていたいなって思っちゃう。
だって映画の一挙一動に一々反応しちゃってる君は。あーもーまったく、かわいいなぁ。
こぼれ出て止まらないものは
(何だかお題/squeezed orange)
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