かちかちと時計の針が時を刻む音が聞こえてくる。窓は締め切っているけれど心地よい空気が身体を纏う。
 暇を持て余してぐるりと周りを見渡してみれば、きらりと光るたくさんのトロフィーが目に入った。部活動の実績やその他もろもろ。ここからじゃ詳しく分かんないけどそれでも優勝とか何とかが書かれた金板や銅版がトロフィーに飾られていた。あぁうちの学校って意外にすごいんだなぁーと今更ながら妙に感心してしまう。
 革張りのソファーは教室の椅子とは比べ物にならないくらい座りやすい。何せ弾力性がある。ゴツゴツなんてしてやいない。そうしてソファーの座り心地を満喫しているオレの膝の上には、ことんと黒いもの。トロフィーやら革張りのソファーやらが置いてあるこの部屋に常駐している人物が、オレの膝に頭を預けて眠っていた。

 朝、遅刻すれすれに登校して直後。校門を駆け抜けて途端、遅刻者の確認のためにその場に立っている風紀委員の皆様の視線を微妙に感じながら息を整えている時に。その風紀委員の委員長様兼恋人にがっつりと手を掴まれて、この部屋に連行された。強引にソファーに座らせられる。いったい何なんだ。びくびくしながら用件が云われるのを待っていると、当の彼は「昨日あんまり寝てないんだ」と言ってオレの膝にぽすりと頭を乗せて早々に寝入ってしまった。ホント何なんだ。

 この部屋に来てからどれだけ時間が経ったんだろう。部屋の時計を見れば、もうすぐ1時間目の予鈴が鳴るところだ。自分の状況を確認してみれば、あきらかにこれはサボり決定。1時間目の授業は確か数学だったはず。出てもちっとも分かんない授業だけど、ほんのちょっとだけ罪悪感がオレを襲う。それでもって、このサボタージュがリボーンにバレたら怖いんだろうなーと考えて、本格的に背筋が寒くなってきたからそう考えるのはやめる。考えるのもヤダ。
 予鈴が鳴ってもオレが教室に姿を見せなかったら、獄寺君や山本は心配してくれるんだろう。京子ちゃんだってそうだ。あぁみんな心配かけてごめんねありがとう。でもオレ今日は遅刻したわけでも具合悪いわけでもないんだ。オレはちょっぴり非難めいた視線でオレの膝に頭を乗せて眠っている人物を見やる。
 いっそ清々しいほどに寝入っているその姿は、起きる気配など微塵も見せない。その閉じている彼の目蓋に、髪の毛がかかっているのに気付いて、オレは少し躊躇ったあとそれを優しく払った。昔は葉が落ちる音でも目を覚ましていたというのに、その所為でオレはひどい目にあったというのに。こうしても彼が目を覚まさないということは、余程眠りが深いという証拠なのかそれともオレに気を許しているという証拠なのか。
 そんなことを考えても不毛なだけだけれど。けれども、後者ととって考えてみれば、オレの胸の内にはすごくうれしい気持ちが沸き上がってくる。自然と、笑みを作ってしまう。


 あと数秒で1時間目が始まる本鈴が鳴る。それでもオレは動けない。いや、動かない。膝に暖かな存在を感じながら、ただ時が過ぎるのを待っていた。




ラ・ラ・ルー