マフィアランドに行きました。(リボーンと一緒編)



 空はまさに晴天というのが相応しいほど青々と輝き、風は心地よい気温を運んでくる。まさに観光日和。
「うっわぁー、相変わらず派っ手だなぁ」
 豪華客船から降りたツナは脇目も振らず入場門の方に駈けていき呆れとはまた違う感想をもらした。その瞳は期待で満ち溢れたかのようにきらきらと輝いている。
「なぁ、リボーン!早く行こうよ」
 くるりと振り向いてツナは唯一の同行者に呼び掛ける。呼ばれたリボーンはゆっくりとツナの2・3メートル後ろを歩いていた。暑いのに普段と同じく涼しい顔をして全身を黒いスーツで固めている。無表情に近い顔のままツナを見つめ、はぁと息を吐いて気だるげに歩を進めていた。
 ツナは呼んでもなかなか来ないリボーンに痺れを切らしてとことこと戻ってリボーンの傍に寄った。そして、リボーンの肩の上にいるレオンを手に乗せて、リボーンをちらりと盗み見た。リボーンは何故か船に乗っていたときから黙りを決め込んでいた。久しぶりに二人での休暇、それもあまり来ることができないマフィアランドに来れたというのにこんな微妙な雰囲気がツナはいやだった。
「なんだ?」
「うぇ!?ななななんでもないよ?」
「何でもないならじろじろ人の顔見るのを止めることだな」
 不意に話し掛けられて。見上げられてなのに上から言われているようでツナはうっと怯む。手に乗せたレオンを撫でながら、それでもちらちらとツナはリボーンを見てしまう。リボーンは相変わらずゆったりとした歩調で優雅に歩いていた。
「ねぇ、あのさ」
 ツナは恐る恐るリボーンに声をかける。
「何でもないってのが嘘っていうわけでもないんだけどさ」
「…………………」
「……………お前、なんか怒ってる?」
 少しだけ前かがみになってリボーンの顔を覗き込むように問い掛ける。
 リボーンはぴたりとその場に止まってツナを見やる。
 ツナは思わずびくりと身体が震えてしまった。
「怒ってねぇよ」
「………ほんと?」
「怒る理由がねぇだろうが…………ただ」
「た、ただ?」
 ツナはごくりと唾を呑む。
 リボーンはそんなツナの頭の天辺から爪先まで眺め、そして、
「色気がねぇ」
「はっ!?」
 ツナから視線を外してあからさまにため息をついた。
 ツナは今Tシャツにジーンズと非常にシンプルな格好をしていた。それがお気に召さなかったのだろう、リボーンは盛大に舌打ちをした。
「つーか、ここで色気とか関係ないし。ってかお前そんなことで黙り込んでたの!?悩んでた意味ないじゃん!」
 ツナはレオンを撫でる手を止めガーンとショックを受ける。リボーンはまぁ、ここで他の奴らにお前のあで姿見せんのも癪だけどなと一人ごちてツナの手を引っ張って歩きだす。
「うわぁ、何すんだよ」
 引っ張られたツナはバランスを崩して転びそうになる。けれど何とか踏張って態勢を持ちなおす。
「行かねぇのかよ」
「い、行くよ!」
 くいっと顎で先を指しながら余裕のある笑みを見せたリボーンに、多少むっとしながらもツナは歩きだす。
 片手でレオンを抱えて、もう片方で手を繋いで。二人入場門の方に歩いていった。