「おまえとこーゆーことしてると、ものすごーく犯罪者になった気分になるよ」
 布の擦れる音がする。身体を動かすたびに聞こえるシーツに皺が寄るときの音だ。部屋の中は真っ暗で、互いの姿がぼんやりとしか見えやしない。それでもやはり身体が密着するほど近くにいればその顔色さえも簡単に分かるようで、唐突に云われた彼女の言葉に、ぴくりと眉を動かしたリボーンの表情がツナにはよく見て取れた。
「てめーはもう立派な犯罪者じゃねーか」
「うわ、それ言う?」
 真顔で突き付けられた言葉に、ツナはうげっと顔を歪めた。そうしてからひどいなぁ、と苦笑する。その様子の彼女に、リボーンははんっと鼻を鳴らした。
 非道いも何も事実は事実だ。それを突き付けて何が悪い。
 ツナは顔を横に向けて、でもやっぱ犯罪者になったよーに感じるんだと未だくすくす苦笑を零している。ああ胸くそが悪い。そうとばかりに眉をひそめたリボーンは未だくすくす笑みをかたどっているツナの唇に荒々しく口付けた。こっちを向け。
 唇を離せば2人の間に銀糸が伝う。つっと張りつめたそれはしかし距離が伸びるほど細くなり途中でぷつりと切れてしまった。そのままの勢いでリボーンはツナの首筋にも唇を寄せる。鎖骨を噛む。その時にびくりと彼女が震えて、リボーンは僅かに笑みを浮かべた。
「今更罪状が1つや2つ増えたって痛くも痒くもねーだろ?」
 微かに身体を起こして瞳を見つめる。見つめられた瞳はきょとんと一度瞬きをした。そうして眉を八の字に下げる。その姿に再びリボーンの胸の内が淀んだ。
 ああこいつは痛くも痒くもあるのだろうか。こいつだからな。いつまでも甘い。犯罪者に、なったことを、ならされたことを後悔しているのだろうか。それとも自分とこんな関係になったことを後悔しているか。
 リボーンは無意識に眉根を寄せる。ああそれでも。リボーンは掴んでいたツナの手首を握り締めた。堅く堅く握り締めた。
 強く握り締められた所為で痛いはずなのに、ツナは苦痛の表情を見せはしなかった。
「リボーン」
 まっすぐに呼び掛けた彼に視線を向ける。リボーンは、あ?と怪訝な顔を見せた。
「でもさ」
 何が「でも」だというのか。リボーンは更に怪訝な表情を作る。そうして少しの間疑問に思って、その「でも」が彼女の先の言葉にも自分の言葉にも繋がることに気付いた。
 ツナは先程と同じく眉を八の字に下げて、下げて。そうして困ったように笑っている。
「好きだよ?」
 くすり、と笑みを零す。それは本来からの彼女の物だ。リボーンは一瞬呆気にとられたように目を見開いた。いきなり何を云うんだ。
「立派な犯罪者のオレは、おまえが好きなんだ」
 ごめんな、と彼女はまた苦笑を零す。掴まれていた手首への力は緩められていて簡単に外すことが出来た。そうして彼を引き寄せて、軽いキスを送った。くすりと笑みを洩らす。
 リボーンは唖然とツナを見下ろした。ごめんな、と彼女がもう一度笑う。ああ胸くそが悪い。リボーンは悠然と口の端を上げた。
 未だツナはくすくすと笑みを洩らしている。それにうるさい黙れと遮るように、リボーンは彼女の唇を自分のそれで塞いだ。




掴まったのは何方?





…………フィーリングで!(待って)