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穏やかな春風が肌を撫ぜ、やわらかな日差しが降り注ぐ。温かな空気は人々を包み込むが、しかし決して暑いということはない。人肌に触れても、心地のよい温度である。
「ツナ」
道路には2つの人影。繋いだ手を軽く振りながら、山本が呼び掛ける。呼ばれたツナは何だろうかと無意識にも思い、歩みを進めつつも山本の方に顔を向けた。小首を、傾げる。はたはたと瞬きながら、彼を見つめた。けれど山本は視線をツナにやることなく、微笑みながらも真っすぐ前を見ていた。
「ツーナ」
「なぁに?」
軽やかに、穏やかな声で。
「ツーナー」
「え、えっ?なに?」
名前だけを呼び掛けられ続けて、ツナは困惑した。頭の上にははてなマークが飛んでいる。
ツナの歩調にあわせてのゆったりとした足取りは止まらず。けれど山本はずっと前に向けていた視線を、今度はツナにやった。にっかりと。笑う。
「んー?何でもねぇ」
にこにこと、満面の笑みを向けられた。繋いだ手が一層強く握られる。
告げられたツナは一瞬ぽかんと口を開けて呆気にとられたが、しかし次の瞬間にはぷっと吹き出してぷるぷると肩を震えさせた。
「あははっ……もう、何だよそれ?」
繋がれてないほうの手で、髪をかきあげる。意味がわからないと訴えるように、繋いだほうの手をゆるゆると揺らしてみた。
山本はその問いに答えない。ツナも彼から答えをもらおうとは思ってもいない。からからと、笑い声だけが道の一画から聞こえてくる。ゆらゆらと繋いだ手を揺らして、そうして笑いあう。この時間はなんて愛しいものなのだろうか。
隣で君が笑ってるしあわせ
(何だかお題/squeezed orange)
バカッポー。笑。
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